年収とは?税金はいくら引かれる?額面・手取り・転職時の確認ポイントをわかりやすく解説
(監修)中嶋 竜之介
株式会社ソマリ 代表取締役
ミスミ、リクルート、Amazon Japanを経て、転職エージェントである株式会社ソマリを創業。
独立後、4期目で転職成功支援者数は100名超。
Amazon、リクルートなどの大手有力企業への紹介実績と人事コネクションを強みに、あなたのキャリアをサポートいたします。
「年収500万円」
「想定年収400万円~600万円」
「前職年収を考慮」
こうした表記を見ると、つい「実際にもらえる金額」と思ってしまいがちです。
けれど、年収と手取りは同じではありません。
年収とは、基本的には税金や社会保険料が引かれる前の年間収入を指します。
つまり、求人票に書かれている年収がそのまま銀行口座に振り込まれるわけではありません。
【記事概要】
年収とは、税金や社会保険料が引かれる前の年間収入のこと

年収とは、1年間に会社から支払われる給与や賞与などを合計した金額のことです。
会社員の場合、一般的には次のようなものが年収に含まれます。
- 基本給
- 残業代
- 役職手当
- 住宅手当
- 通勤手当
- 賞与・ボーナス
- インセンティブや歩合給
ただし、求人票でいう「想定年収」は、会社によって計算の前提が異なることがあります。
残業代を含んでいる場合もあれば、賞与の見込み額を含んでいる場合もあります。インセンティブ制度がある営業職では、達成率によって実際の年収が大きく変わることもあります。
ここで大切なのが、「年収=手取り」ではないという点です。
年収は、いわゆる額面の金額です。
そこから所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが差し引かれます。差し引かれたあと、実際に銀行口座へ振り込まれる金額が手取りです。
たとえば、求人票に「年収500万円」と書かれていても、年間で500万円がそのまま使えるわけではありません。実際の手取りは、扶養家族の有無、住んでいる地域、年齢、社会保険料、各種控除などによって変わります。
転職活動では、年収アップという言葉に目が行きがちです。
ただ、額面だけで判断すると、入社後に「思ったより手取りが少ない」と感じることがあります。
不安な場合は、内定後に労働条件通知書や給与条件を確認し、基本給・固定残業代・賞与・手当の内訳まで見ることが大切です。転職エージェントを利用している場合は、企業に直接聞きづらい給与の内訳や想定手取りについて、間に入って確認してもらえることもあります。
年収から引かれる税金と社会保険料の主な種類

年収から引かれるものは、大きく分けると「税金」と「社会保険料」です。
税金として代表的なのは、所得税と住民税です。
所得税は、1年間の所得に応じて国に納める税金です。
会社員の場合、毎月の給与から源泉徴収という形であらかじめ差し引かれ、年末調整で過不足が調整されます。
住民税は、住んでいる自治体に納める税金です。
基本的には前年の所得をもとに計算され、翌年の給与から差し引かれます。転職後に「思ったより手取りが少ない」と感じる理由のひとつが、この住民税です。前年の年収が高かった人は、転職後の給与が下がっても住民税の負担がしばらく重く感じられることがあります。
社会保険料には、主に次のようなものがあります。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 介護保険料
- 雇用保険料
健康保険料は、病院にかかったときの医療費負担を支える制度です。
厚生年金保険料は、将来の年金に関わるものです。
介護保険料は、原則として40歳以上になると負担が発生します。
雇用保険料は、失業給付や育児休業給付などに関係します。
給与明細を見ると、「支給」と「控除」という欄があります。
支給欄には基本給や残業代、手当などが入り、控除欄には税金や社会保険料が記載されます。そして、支給額から控除額を引いたものが「差引支給額」、つまり手取りに近い金額です。
年収を考えるときは、額面の大きさだけでなく、控除後にいくら残るかを見る必要があります。
たとえば、転職で年収が50万円上がったとしても、通勤費の自己負担が増えたり、住宅手当がなくなったり、残業代込みの給与になったりすると、生活のゆとりはあまり変わらないこともあります。
求人票を見るときは、年収の総額だけでなく、「基本給はいくらか」「賞与は何カ月分か」「固定残業代は含まれているか」「手当は毎月支給されるのか」を確認しましょう。
転職時は「年収」だけでなく「手取り」と「給与内訳」を見る
転職活動で年収を見るとき、多くの人は「今より上がるかどうか」を気にします。
もちろん、年収アップは大切です。生活費、家賃、貯金、家族の将来を考えれば、給与条件は軽視できません。
ただし、転職では年収の数字だけを見て判断すると、入社後にギャップが出やすくなります。
たとえば、同じ年収500万円でも、内訳によって安定感は変わります。
A社は、基本給が高く、賞与が少なめ。
B社は、基本給が低く、賞与の比率が高い。
C社は、固定残業代を含めて年収500万円。
D社は、インセンティブ達成を前提に年収500万円。
この4社は、求人票上では同じように見えるかもしれません。
しかし、実際の働き方や収入の安定性はかなり違います。
基本給が高い会社は、毎月の収入が安定しやすいです。
賞与比率が高い会社は、業績や評価によって年収が変動しやすくなります。
固定残業代込みの場合、一定時間分の残業代が給与に含まれているため、実際の労働時間を確認する必要があります。
インセンティブ前提の年収は、成果が出れば高くなる一方で、未達の場合は想定より低くなる可能性があります。
転職時に確認したいのは、次の3つです。
- 想定年収に何が含まれているか
- 毎月の基本給はいくらか
- 税金や社会保険料を引いた後、生活に必要な手取りが確保できるか
特に、現在の給与明細と内定先の条件を並べて比較すると、かなり見え方が変わります。
今の会社では住宅手当が出ているのに、転職先では出ない。今は残業代が別途支給されているのに、転職先では固定残業代込み。こうした違いは、年収の数字だけでは見落としやすいところです。
また、転職エージェントを通じて選考を進めている場合は、内定後に年収条件の確認や交渉を相談できることがあります。自分では聞きづらい「固定残業代の内訳」「賞与の実績」「昇給の仕組み」なども、第三者を通すと確認しやすくなります。
年収は高ければ高いほどよい、という単純なものではありません。
大切なのは、自分の生活に合った手取りが残り、将来の昇給や働き方にも納得できるかどうかです。
まとめ:年収とは税金が引かれる前の金額。転職では手取りまで確認する
年収とは、会社から1年間に支払われる給与や賞与などの総額です。
ただし、そこから税金や社会保険料が引かれるため、実際に使える金額は年収より少なくなります。
この記事のポイントは次の3つです。
- 年収とは、基本給・残業代・手当・賞与などを含む、税金や社会保険料が引かれる前の年間収入のこと
- 年収からは、所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などが差し引かれる
- 転職時は、年収の総額だけでなく、基本給・賞与・固定残業代・手当・手取り額まで確認することが重要
求人票の「年収500万円」という数字は、わかりやすく見えて、実はかなり幅のある情報です。
安定した500万円なのか、賞与次第の500万円なのか。残業代込みなのか、別途支給なのか。毎月の生活に余裕が出るのか、思ったほど変わらないのか。
転職で後悔しないためには、年収の数字を眺めるだけでなく、その中身を一つずつ確認することが大切です。
内定が出たときほど、気持ちは前に進みたくなります。
けれど、そのタイミングで給与条件を丁寧に見る人ほど、入社後のギャップを減らせます。必要に応じて転職エージェントにも相談しながら、額面年収だけでなく、手取りと生活実感まで見据えて判断しましょう。