【夫が退職したら、妻の扶養はどうなる?】社会保険と税金の観点から解説
(監修)中嶋 竜之介
株式会社ソマリ 代表取締役
ミスミ、リクルート、Amazon Japanを経て、転職エージェントである株式会社ソマリを創業。
独立後、4期目で転職成功支援者数は100名超。
Amazon、リクルートなどの大手有力企業への紹介実績と人事コネクションを強みに、あなたのキャリアをサポートいたします。
「扶養」と一言でいっても、実は以下の2つがあります。
健康保険上の扶養(社会保険の扶養)
税金上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)
この2つはまったく別物なので、それぞれで判断する必要があります。
健康保険上の扶養(社会保険の扶養)
税金上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)
この2つはまったく別物なので、それぞれで判断する必要があります。
【記事概要】
健康保険上の扶養はどうなる?
◆ パターンA:夫が会社を辞めた → 妻が会社員・公務員で社会保険加入中
この場合、夫は妻の扶養に入れる可能性があります。
【条件】
- 夫の年収が130万円未満(60歳以上または障害者なら180万円未満)
- 雇用保険の失業給付を受けていない、または受給額が一定以下
- 妻が加入している健康保険組合が扶養を認めていること(協会けんぽなど)
→ 条件を満たせば、夫は妻の健康保険に“扶養家族”として加入し、保険料負担ゼロで保険証がもらえます。
【手続き】
- 妻の勤務先に「被扶養者(異動)届」等を提出
- 夫の収入見込みや退職証明などの書類が必要
【注意点】
夫が失業保険(基本手当)を受給する場合、その金額が高いと扶養に入れない可能性があります(※日額3,612円以上は扶養不可とされることが多い)。
税金上の扶養(配偶者控除)はどうなる?

◆ パターンA:夫が退職後に収入がほとんどない
→ 妻の年末調整・確定申告で、夫を“配偶者控除”に入れることが可能です。
【配偶者控除の要件】
- 夫の年間所得が48万円以下(年収で言うと約103万円以下)
- 妻が納税者で、夫婦が同居しているなどの基本条件を満たす
→ 妻の所得税・住民税の負担が軽くなります。
夫が再就職・開業したらどうなる?

退職後すぐに夫が再就職または個人事業を始める場合は、以下のようになります:
- 再就職(社会保険あり) → 自分の保険に加入。妻の扶養から外れる。
- 個人事業主になる → 国民健康保険に加入。扶養制度は適用されない。
- 収入が増えると、税金上の扶養からも外れる可能性があります。
まとめ|夫が退職した場合の妻の扶養の扱い(一覧)
| 観点 | 妻が会社員等で保険加入中 | 妻が無職・パート等(夫が扶養していた) |
| 夫が退職後、無収入・失業保険なし | 妻の健康保険に扶養で入れる | 夫が国保 or 自分で任意継続 |
| 夫が失業保険受給中(日額高い) | 扶養に入れない可能性あり | 同上 |
| 夫の年収が年間103万円以下 | 妻の「配偶者控除」対象になる | 妻に控除権なし |
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 夫が退職して無職の間、保険証がないのは困る。どうしたらいい?
A. 妻の扶養にすぐに申請するか、夫自身が「任意継続」または「国民健康保険」に加入する必要があります。手続きは退職後14日以内が目安です。
Q2. 夫の扶養に入っていた妻。夫が退職したら自動的に扶養も切れる?
A. はい。夫が社会保険を喪失すると、妻の“被扶養者資格”も同時に失効します。
→ 妻自身で国保に加入するか、新たに扶養に入る必要があります。
まとめ:夫が退職したら、扶養の見直しは必須!
- 「健康保険の扶養」「税金上の扶養」は、それぞれ条件が異なるので別々に確認が必要
- 妻が会社員なら、夫がその扶養に入ることも可能(条件あり)
- 必要に応じて、「国保」や「任意継続」も早めに検討を
- 税制上の控除も、年末調整や確定申告で見直しを忘れずに!
必要な手続きをまとめたチェックリスト(夫が退職した場合)
□ 扶養変更届の提出(妻の会社に)
□ 健康保険の切り替え(国保 or 妻の扶養 or 任意継続)
□ 雇用保険の申請(失業手当の有無確認)
□ 税金上の扶養見直し(配偶者控除対象になるか)