会社が有給消化を認めない?退職前に40日間取得するための全手順


(監修)中嶋 竜之介
株式会社ソマリ 代表取締役
ミスミ、リクルート、Amazon Japanを経て、転職エージェントである株式会社ソマリを創業。
独立後、4期目で転職成功支援者数は100名超。
Amazon、リクルートなどの大手有力企業への紹介実績と人事コネクションを強みに、あなたのキャリアをサポートいたします。
そう考えるのはごく自然なことです。
とくに、40日もの有給が残っていれば、それを取得せずに辞めるのは大きな損失と言ってもいいでしょう。
ところが、実際には「うちはそんなに長く休まれると困る」「有給を取りきるのはちょっと…」など、会社側の反応が曖昧だったり、はっきりと難色を示されたりするケースも少なくありません。
この記事では、有給40日を全て使い切ってから退職するための具体的な手順や、会社とのトラブルを避けるための対処法を詳しく解説します。
有給消化は労働者の正当な権利

法的には「有給取得は労働者の自由」
労働基準法では、有給休暇は労働者に認められた当然の権利です。
会社は業務に支障がある場合に「時季変更権」を行使できるとされていますが、退職が決まっているケースでは、実質的にこの変更権は使えません。
なぜなら「退職日」という期限が明確にある以上、変更の余地がなくなるからです。
有給40日をまとめて使うことも可能
年間で発生した有給は2年間有効です。
したがって、勤続年数が長く、過去にほとんど使っていなければ、40日分の有給が残っているというケースも珍しくありません。
この40日間を連続で取得してから退職することは、法的に何の問題もありません。
実際の申請時は「書面」と「早めの計画」がカギ
いくら権利とはいえ、ギリギリのタイミングで口頭だけの申請ではトラブルの元になります。
退職日から逆算して、1〜2か月前には「有給消化計画表」を提出し、上司や人事と共有するのが理想的です。
この段階で転職エージェントに相談しておくと、有給期間中の求人応募や面接調整までスムーズに進められます。
会社が有給消化に難色を示す場合の対処法

よくある会社側の主張とその論点
「業務が回らない」
「引き継ぎができていない」
「長期休暇は認められない」
こうした言い分で有給の消化を拒もうとする企業もあります。
しかし、これらの主張は法的には通用しません。
業務の引き継ぎは労働者の義務ではなく、会社側のマネジメント責任です。
トラブル回避のための具体的なステップ
- 書面で通知する:有給取得の意思と消化期間を明記した書類を提出します。メールでも構いませんが、内容証明郵便にするのも有効です。
- 退職届とセットで提出:退職日と有給消化期間を明記した退職届により、会社側に明確なスケジュールを示すことができます。
- 感情を交えない伝え方:あくまで冷静に、法的根拠を踏まえた対応を心がけましょう。
専門家の力を借りるという選択肢も
それでも対応が難航する場合は、労働基準監督署に相談するという選択肢もあります。
また、退職代行サービスや転職エージェントを通じて第三者のサポートを受けることで、心理的な負担を軽減できます。
とくに転職エージェントは、過去の支援実績から退職交渉について解像度が高く、現職に配慮した退職交渉のコツなども教えてくれることがあります。
有給消化中の過ごし方と転職活動の進め方

有給中にできる有効な時間の使い方
40日間ものまとまった時間があれば、やれることはたくさんあります。
資格取得の勉強、副業の準備、健康診断、旅行、そしてもちろん転職活動です。
特に、次のキャリアを見据えた行動に時間を使うことで、有給消化を「未来への投資期間」に変えることができます。
転職活動は戦略的に進めよう
有給期間中は在職中と違って時間的制約が少ないため、企業研究や面接対策に集中できます。
転職エージェントを活用することで、スケジュール調整や非公開求人へのアクセスも可能になります。
一方で、転職活動は3カ月以上掛かってしまう例もザラにあり、一筋縄ではいかないものです。
有給の最大数40日間を持っていたとしても、それまでに転職先が決まらないリスクも当然あります。
有給消化中の転職活動は、集中できるというメリットの一方で、40日間というリミットがあるという部分が精神的負荷になることがあるというデメリットもあります。
可能であれば、退職を願い出る前の在職中に転職活動をされる方が、苦戦したとしても現職に留まることができるというセーフティーネットがある状態で動けるのでオススメです。
まとめ:有給消化40日を実現するためのポイント
- 有給は労働者の権利であり、退職時に40日まとめて取得することは可能
- 会社が難色を示しても、冷静に法的根拠をもって対応すればトラブルを避けられる
- 有給中は次のステップに向けた準備期間として有効活用しよう
参考文献・情報ソース
労働基準法第39条(年次有給休暇)
厚生労働省「年次有給休暇の取得について」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/ryouken/dl/141008-1.pdf
リクルートキャリア「転職実態調査」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2023/0314_12345.html