キャリア支援にも応用できる!動機づけ面接(MI)の基本と転職活動への活かし方


(監修)中嶋 竜之介
株式会社ソマリ 代表取締役
ミスミ、リクルート、Amazon Japanを経て、転職エージェントである株式会社ソマリを創業。
独立後、4期目で転職成功支援者数は100名超。
Amazon、リクルートなどの大手有力企業への紹介実績と人事コネクションを強みに、あなたのキャリアをサポートいたします。
「やりたいことがあるけど、なぜか行動に移せない」
このような葛藤を抱える人は少なくありません。そんな“行動と意志のギャップ”を埋めるアプローチとして注目されているのが、「動機づけ面接(Motivational Interviewing:MI)」です。
本記事では、動機づけ面接の考え方と、転職活動やキャリア支援の場面でどう活かせるのかをわかりやすく解説します。
動機づけ面接(MI)とは?
① 動機づけ面接の定義
動機づけ面接(Motivational Interviewing)とは、アメリカの臨床心理学者ウィリアム・R・ミラー氏によって開発された「行動変容を促すためのコミュニケーション技法」です。
従来の指示・説得型アプローチではなく、
「本人の内側から湧き出る“変わりたい気持ち”を引き出す」ことを重視します。
② 特徴
- クライアント主導(相談者の意思を尊重)
- 共感的で受容的な姿勢
- 押しつけない
- 行動変容の“きっかけ”を一緒に探る
禁煙や依存症治療などの医療・福祉分野で使われることが多い技法ですが、キャリア支援や転職相談、部下育成にも応用が広がっています。
MIの基本姿勢(4つの原則)

動機づけ面接は、以下の4つの基本姿勢に基づいて行われます。
原則 | 内容 |
① 共感的理解 | 相手の立場に立って「本当にそう思っているんだね」と受け止める |
② ギャップの認識 | 理想と現状の間にあるギャップに本人が気づくよう促す |
③ 抵抗の回避 | 相手のペースを尊重し、無理に変化を押しつけない |
④ 自己効力感の強化 | 相手の中にある「できるかもしれない」という気持ちを育てる |
転職・キャリア構築におけるMIの活用
転職周辺の現場では、「転職したいけれど不安がある」「自分の強みがわからない」といったモヤモヤを抱える人が多くいます。
そうした人へのアプローチとして、MIの考え方は非常に有効です。
▶ 例1:転職を迷っている時の質問例
- 「現職を続けたい気持ちと、転職したい気持ち、それぞれにどんな理由がありますか?」
- 「もし今のままの状態が続いたら、数年後どうなっていそうですか?」
- 「反対に、転職してみた場合にどんな可能性があると感じますか?」
→ こうした質問を通じて、自身が「変わりたい理由」を言語化できるようになります。
▶ 例2:行動に踏み出せない時の質問例
- 「今、少しだけやってみてもいいと思えることは何ですか?」
- 「その行動をするうえで、不安に感じる点は何ですか?」
- 「もし成功したとしたら、どんな気持ちになれそうですか?」
→ ポイントは「行動を促す」のではなく、「行動を選べるようにする」姿勢です。
MIを取り入れることで得られる効果

- 転職やキャリアチェンジへの納得感ある決断ができる
- 自分の内側から湧き出る“やる気”に気づける
- 他人に言われたからではなく、自分の意思で行動を選べる
結果的に、後悔の少ない転職につながるケースが多く、エージェントやキャリアアドバイザーにも注目されている技法です。
まとめ:行動を引き出すのは「共感」から
動機づけ面接(MI)は、「行動することが正しい」と押しつけるのではなく、自身が「行動したい」と思えるようにする技術です。
【転職やキャリア構築でのポイント】
- 判断を急がせない
- 共感をもって引き出す
- 内側にある意欲や価値観に光を当てる
- 小さな一歩を一緒に見つける
転職で一歩踏み出せない方は、ぜひMIの考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。