EOR 2026.10.13
外国人エンジニア採用とは?メリット・採用方法・注意点と海外人材活用を解説
【記事概要】
外国人エンジニア採用が注目される理由
「エンジニアを採用したいのに、応募が来ない」
「人材紹介会社に依頼しても、希望するスキルの候補者が見つからない」
「ようやく面接まで進んでも、給与条件で大手企業に負けてしまう」
こうした悩みを抱える企業にとって、外国人エンジニア採用は現実的な選択肢のひとつになっています。
厚生労働省によると、2025年10月末時点で日本の外国人労働者は257万1,037人となり、過去最多を更新しました。なかでも「専門的・技術的分野の在留資格」で働く外国人は86万5,588人で、前年より20.4%増加しています。
外国人材の活用は、製造業やサービス業だけの話ではありません。
厚生労働省も企業向けに「海外IT人材採用・定着ハンドブック」を公開しており、日本のIT分野で働いた経験を持つ外国人材の約3割が、就職を機に来日したとしています。
国内だけでエンジニアを探し続けるのではなく、国籍や居住地まで採用条件を広げる。
外国人エンジニア採用は、人手不足への場当たり的な対応ではなく、採用市場そのものを広げる戦略として考えることが重要です。
外国人エンジニアを採用するメリット
1. 採用候補者の母集団を広げられる
外国人エンジニア採用の大きなメリットは、日本国内の限られた候補者だけを取り合わなくてよくなることです。
特に、
- フルスタックエンジニア
- バックエンドエンジニア
- モバイルアプリエンジニア
- クラウドエンジニア
- AI・データエンジニア
など、専門性の高い人材では企業間の採用競争が起こりやすくなります。
求人媒体を変える、人材紹介会社を増やす、スカウト数を増やす。
こうした施策を行っても、同じ国内市場から探している限り、候補者プール自体は大きく変わりません。
外国人エンジニアや海外在住エンジニアまで採用対象を広げれば、これまで接点を持てなかった人材と出会える可能性があります。
2. 海外の技術者を開発チームへ取り込める
ソフトウェア開発で使われる技術の多くは世界共通です。
Java、Python、PHP、React、Flutter、AWS、Dockerなどは、日本だけで使われている技術ではありません。
そのため、技術面では海外エンジニアも十分に採用対象になります。
異なる企業文化や開発環境を経験した人材が加わることで、開発手法や設計について新しい視点が入ることもあります。
将来的に海外展開を考えている企業にとっては、グローバルな開発組織を作る第一歩にもなります。
3. 採用コストを見直せる可能性がある
国内のエンジニア採用では、給与だけでなく、人材紹介手数料や求人媒体費なども発生します。
正社員採用が進まず、SESやフリーランスを長期間利用すると、毎月の人材コストが膨らむこともあります。
海外では国や地域によって給与水準が異なるため、同等のスキルを持つエンジニアでも、日本国内とは異なる人材コストで採用できるケースがあります。
ただし、「外国人だから安く採用する」という考え方は適切ではありません。
スキル、経験、日本語力、英語力、担当する役割などを踏まえ、市場に合った待遇を設定することが重要です。

外国人エンジニアを採用する2つの方法
外国人エンジニア採用では、最初に一つ整理しておきたいことがあります。
それは、
「日本で働いてもらうのか」
「海外在住のまま働いてもらうのか」
です。
この2つでは採用後の手続きや雇用方法が異なります。
方法1. 日本国内で外国人エンジニアを採用する
すでに日本に住んでいる外国人エンジニアや、採用を機に日本へ来てもらう人材を雇用する方法です。
この場合は、本人が行う業務と在留資格の確認が必要になります。
ITエンジニアでは、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が関係するケースがあります。
出入国在留管理庁では、この在留資格について、自然科学などの分野に属する技術・知識を必要とする業務などを対象としており、コンピューター技師なども例として示されています。
ただし、「エンジニアとして採用するから必ず認められる」というものではありません。
本人の学歴や経歴、担当業務、雇用契約などによって確認事項が異なります。
出入国在留管理庁は2026年4月にも「技術・人文知識・国際業務」に関する資料を更新しているため、採用時には最新情報を確認することが重要です。
方法2. 海外在住のままリモートで採用する
もうひとつは、エンジニアに海外在住のまま日本企業の開発チームへ参加してもらう方法です。
リモート開発が可能な企業であれば、必ずしもエンジニアを日本へ呼び寄せる必要はありません。
この場合、日本で就労するための在留資格とは別に、現地でどのように雇用するかを考える必要があります。
そこで問題になるのが、
「海外法人がない」
「現地で雇用契約を結べない」
「給与計算をどうすればよいかわからない」
「社会保険や労務管理まで対応できない」
といった点です。
こうした課題への選択肢のひとつがEORです。
外国人エンジニア採用で確認したい5つのポイント
1. 必要な日本語レベルを明確にする
外国人エンジニア採用というと、多くの企業が最初に「日本語は大丈夫なのか」と考えます。
もちろん、コミュニケーションは重要です。
しかし、すべてのエンジニアにネイティブレベルの日本語が必要とは限りません。
たとえば、顧客と直接要件定義を行うポジションなら、高い日本語力が必要でしょう。
一方、社内開発が中心で、チャットや仕様書を使ってコミュニケーションできる環境であれば、必要な日本語レベルは変わります。
重要なのは「N1必須」と機械的に設定することではなく、実際の業務で何ができればよいかを定義することです。
2. 技術力は実務経験から判断する
外国人エンジニアだからといって、特殊な評価方法が必要なわけではありません。
日本人エンジニアと同様に、
- 使用してきたプログラミング言語
- 担当したプロジェクト
- 設計経験
- 実装経験
- コードレビュー経験
- チーム開発経験
- 障害対応経験
などを確認します。
GitHubやポートフォリオがある場合は、それらを面接材料にする方法もあります。
厚生労働省の海外IT人材向けハンドブックでも、採用前に業務内容、期待する役割、キャリアパス、選考方法・基準などを明確にすることが重要とされています。
3. 採用条件を厳しくしすぎない
外国人エンジニアまで対象を広げても、
「日本語N1必須」
「日本企業勤務3年以上」
「日本在住」
「特定技術5年以上」
「複数クラウド経験必須」
といった条件をすべて設定すれば、候補者は少なくなります。
もちろん、業務上必要な条件は残すべきです。
ただし、
「入社初日から絶対に必要なのか」
「入社後に学べるのか」
を分けることが重要です。
採用要件を広げるために外国人採用を始めたのに、国内採用と同じ厳しい条件を残していては意味がありません。
4. 入社後のオンボーディングを設計する
採用できれば終わりではありません。
外国人エンジニアが働きやすいチームにするには、入社後のコミュニケーション設計も重要です。
たとえば、
- 開発ルールを文章にする
- 仕様を口頭だけで伝えない
- 定例ミーティングを設定する
- コードレビュー基準を共有する
- 1on1を行う
- 質問しやすい環境を作る
といった運用があります。
これは外国人だけのための取り組みではありません。
暗黙の了解に頼らない開発組織を作ることは、日本人メンバーにとっても働きやすい環境につながります。
5. 雇用・労務の確認を後回しにしない
技術力の高い候補者が見つかってから、初めて雇用方法を調べ始める企業もあります。
しかし、日本で働いてもらうのか、海外からリモート勤務してもらうのかによって、確認すべき事項は異なります。
日本国内で採用するなら、在留資格や雇用時の届出などを確認します。
海外在住者であれば、現地の労働法、給与、社会保険、税務などを確認する必要があります。
厚生労働省では、外国人を雇用する事業主に対して、雇入れ・離職時に在留資格や在留期間等を確認し、届出を行う制度を案内しています。
個別の取り扱いは状況によって異なるため、必要に応じて専門家へ相談することが望まれます。

外国人エンジニア採用で失敗しやすいケース
外国人エンジニア採用がうまくいかない企業には、いくつか共通するパターンがあります。
ひとつは、「外国人エンジニアなら安く採用できる」というコストだけを目的にしてしまうケースです。
報酬だけで人材を選べば、必要なスキルとのミスマッチが起きます。
また、候補者側から見ても、適正な評価をしてもらえない会社には長く働きたいと思いにくいでしょう。
もうひとつが、「採用したら日本のやり方に合わせてもらえばいい」と考えるケースです。
言語や文化が異なるメンバーが働く場合、会社側にもコミュニケーション方法を改善する姿勢が求められます。
たとえば仕様をすべて口頭で伝える会社では、日本語ネイティブではないエンジニアが働きにくい可能性があります。
しかし仕様書やタスクを明文化すれば、外国人だけでなくチーム全体の認識齟齬を減らせます。
外国人エンジニア採用は、人材だけを変える取り組みではありません。
採用をきっかけに、開発組織の働き方そのものを改善する機会にもなります。
海外在住の外国人エンジニアならEORという選択肢がある
国内在住の外国人だけでなく、海外在住のエンジニアまで候補にすると、採用市場はさらに広がります。
ただし、海外人材を直接雇用するためだけに現地法人を設立するのは、中小企業やスタートアップには負担が大きい場合があります。
そこで利用される仕組みのひとつがEORです。
EORとはEmployer of Recordの略で、現地の雇用主体を通じて海外人材を雇用する方法です。
企業側は現地法人を一から設立せず、海外エンジニアを自社チームへ迎える方法を検討できます。
Somali EORでは、たとえば日本語でコミュニケーションできるインドネシア人エンジニアなどを、海外正社員モデルで採用する選択肢があります。
要件ヒアリングから候補者の選定、書類選考、面接、オファー、就業開始まで進められるため、「海外エンジニアに興味はあるが、候補者をどう探せばよいかわからない」という企業でも検討しやすい仕組みです。
また、エンジニア人材については月額30〜40万円台から検討できるケースもあります。実際の費用はスキル、経験、日本語力、契約条件などによって変わります。
SESや業務委託のように一時的な外部リソースとして活用するのではなく、海外人材を長期的な開発メンバーとして迎えることを考えやすい点が特徴です。
特に、
「国内正社員が採用できない」
「SESやフリーランスの長期コストが重い」
「自社の開発ノウハウを蓄積したい」
「海外法人を作るほどではない」
といった企業では、比較対象に入れる価値があります。
ただし、EORを使えば海外雇用に関する確認がすべて不要になるわけではありません。
現地の労働法、税務、社会保険、知的財産、情報セキュリティなど、国や業務内容に応じた確認が必要です。
外国人エンジニア採用が向いている企業
外国人エンジニア採用は、特に次のような企業に向いています。
- 数か月求人を出しても国内エンジニアを採用できない
- フルスタックなど採用難易度の高い人材を探している
- リモート開発ができる
- 採用対象地域を海外まで広げられる
- SESや業務委託への長期依存を減らしたい
- 自社の開発チームを育てたい
- 日本語対応可能な海外人材を探したい
- 現地法人を持たずに海外採用を始めたい
一方、3か月だけ特定技術の専門家が必要といったケースなら、SESや業務委託のほうが使いやすい場合があります。
採用方法に絶対的な正解があるわけではありません。
「どのくらいの期間、その人に働いてほしいのか」
「何を任せたいのか」
という目的から逆算して選ぶことが重要です。
まとめ:外国人エンジニア採用は、採用市場を海外まで広げる戦略
外国人エンジニア採用は、「国内人材が採用できない場合の最後の手段」ではありません。
必要なスキルを持った人材を、国籍や居住地に限定せず探す採用戦略です。
外国人エンジニア採用で押さえておきたいポイントは次の通りです。
- 日本では外国人労働者・専門技術人材ともに増加している
- 国内在住外国人と海外在住人材では採用方法が異なる
- 日本で働いてもらう場合は在留資格などの確認が必要
- 日本語力は仕事内容に必要な水準から逆算する
- 技術力は国籍ではなく実務経験を中心に評価する
- 必須条件を増やしすぎない
- 入社後のオンボーディングや情報共有を仕組み化する
- 海外在住人材ならEORを使う方法もある
- EORなら海外法人なしで海外正社員モデルを検討できる
- 海外雇用では国ごとの労務・税務・契約制度を確認する
「エンジニアが見つからない」と感じたとき、求人媒体を増やすだけでは状況が変わらないことがあります。
勤務地を広げる。
国籍の条件を外す。
海外在住者まで探す。
そして、雇用方法そのものを変える。
採用する場所の制約をひとつずつ外すことで、それまで出会えなかったエンジニアが候補者になる可能性があります。
外国人エンジニア採用は、人材不足への対応だけではなく、これからの開発チームをどう作るかを考えるための選択肢です。
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