EOR 2026.10.06
フリーランスエンジニアの単価はどう決める?相場・計算方法・交渉のポイントを解説
【記事概要】
フリーランスエンジニアの単価は「相場だけ」で決めない
「フリーランスエンジニアに月80万円を提示されたが、高いのかわからない」
「自社で募集するとき、いくらで案件を出せばよいのか」
「経験5年なら月70万円、10年なら100万円と考えてよいのか」
フリーランスエンジニアを活用するとき、最初に悩みやすいのが単価の決め方です。
フリーランスエンジニアには、正社員のように決まった給与テーブルがあるわけではありません。
案件内容、スキル、経験、稼働日数、契約期間、市場での希少性などを踏まえて、案件ごとに単価が決まります。
2026年9月時点で公開されているITプロパートナーズの案件データでは、フリーランスエンジニアの平均単価は月73万円です。
一方、レバテックの公開データでは、週5日フルタイムの場合、JavaやPHPで月70万〜80万円、Pythonで75万〜85万円、クラウドエンジニアでは80万〜90万円程度がひとつの目安とされています。
ただし、この数字をそのまま自社案件に当てはめるのはおすすめできません。
重要なのは、「相場はいくらか」ではなく、「その仕事を任せられる人材はいくらで確保できるか」です。
フリーランスエンジニアの単価を決める7つの要素
1. スキルと専門性
単価を大きく左右するのが、エンジニアのスキルです。
たとえば同じバックエンドエンジニアでも、
「仕様書通りに実装できる」
人と、
「要件定義から設計、実装、レビューまで一人で担当できる」
人では、任せられる仕事が違います。
当然、後者のほうが単価は高くなりやすくなります。
また、単純に使用できるプログラミング言語の数を見るだけでは不十分です。
AI・機械学習、クラウド、セキュリティ、データ基盤など、市場で人材が少ない専門領域を扱える場合は、希少性によって単価が上がることがあります。
2. 経験年数
経験年数も判断材料のひとつです。
一般的には、経験が長くなるほど担当できる業務範囲も広がり、単価は上がりやすくなります。
ただし、
「経験10年だから高単価」
とは限りません。
同じ業務を10年間続けてきた人と、複数の開発環境で設計、実装、マネジメントまで経験してきた人では、市場価値が異なるからです。
単価を決める際には、年数そのものより、
- どのようなシステムを作ったか
- どの工程を担当したか
- 何人規模のチームだったか
- 技術選定を経験したか
- 顧客折衝を行ったか
まで確認する必要があります。
3. 担当工程
エンジニア単価は、担当する工程によっても変わります。
一般的には、
テスト。
実装。
詳細設計。
基本設計。
要件定義。
プロジェクトマネジメント。
と上流工程へ進むほど単価が高くなる傾向があります。
理由は単純で、技術だけでなく判断力やコミュニケーション能力まで求められるためです。
「何を作るかが決まっている状態で実装する人」と、「顧客と話しながら何を作るべきか決める人」では、責任範囲が大きく異なります。
4. 稼働日数・稼働時間
フリーランスエンジニアは、必ずしも週5日で働くとは限りません。
週2日。
週3日。
週4日。
フルタイム。
案件によって働き方はさまざまです。
そのため、月額単価を見る場合は稼働量も確認する必要があります。
たとえば、
「月60万円」
だけを見ると安く感じても、週3日稼働なら時間単価は高くなります。
逆に月80万円でも週5日フルタイムなら、時間当たりのコストは低い場合があります。
単価を比較するときは、
月額 ÷ 想定稼働時間
で時間単価まで確認すると判断しやすくなります。
5. 契約期間
契約期間も単価交渉に影響します。
3か月だけの案件と、1年間継続が見込まれる案件では、フリーランス側から見た安定性が違います。
長期契約であれば、多少単価を調整してでも受けたいと考える人もいます。
一方、
「1か月だけ」
「プロジェクト終了時期が未定」
「いつ終了するかわからない」
という案件では、不確実性を考慮して高めの単価を希望されることがあります。
6. 働き方・案件条件
フルリモートか出社かも単価や応募数に影響します。
フルリモートなら全国のフリーランスから候補者を集めやすくなります。
一方、
「週5日出社」
「勤務地限定」
「深夜対応あり」
「緊急対応あり」
といった条件では、受けられる人材が少なくなるため、単価を高く設定しないと採用できない場合があります。
金額だけでなく、案件条件そのものも人材確保の難易度に影響します。
7. 商流・エージェント手数料
フリーランスエンジニアを直接契約する場合と、エージェント経由で契約する場合では、企業が支払う金額の構造が異なります。
エージェントを利用すれば、
- 候補者探し
- スクリーニング
- 契約手続き
- 稼働後のフォロー
などを任せられます。
その一方で、サービス利用に伴う費用が単価に反映される場合があります。
単価を比較するときには、「エンジニア本人への報酬」だけでなく、自社が実際に支払う総額を見ることが大切です。

フリーランスエンジニアの単価相場
フリーランスエンジニアの単価は職種によって異なります。
公開されているデータでは、週5日フルタイムの場合、次のような月額がひとつの目安です。
- Java:70万〜80万円
- PHP:70万〜80万円
- Python:75万〜85万円
- JavaScript:70万〜80万円
- TypeScript:75万〜85万円
- ネットワークエンジニア:65万〜75万円
- クラウドエンジニア:80万〜90万円
- 社内SE:60万〜70万円
- PM:85万〜95万円
ただし、これはあくまで目安です。
実際の単価は、案件の難易度、担当工程、必要なスキル、稼働条件によって変わります。
同じPythonでも、Webアプリケーションの実装とAI・機械学習では相場が異なる場合があります。
クラウドエンジニアでも、AWSの運用だけを担当する人と、クラウドアーキテクチャ全体を設計する人では単価が違います。
フリーランスエンジニアの単価を決める具体的な手順
手順1. 任せたい仕事を明確にする
最初に予算を決めるのではなく、仕事内容を決めます。
たとえば、
「バックエンドエンジニア1名」
ではまだ曖昧です。
より具体的に、
「既存SaaSのバックエンド開発」
「Python/Django」
「詳細設計から実装、レビュー」
「週5日」
「フルリモート」
「6か月以上」
まで整理します。
ここまで明確になれば、必要なスキルレベルを判断できます。
手順2. 必須スキルと歓迎スキルを分ける
すべてのスキルを必須にすると、単価も高くなります。
たとえば、
Python。
AWS。
React。
Docker。
Kubernetes。
Terraform。
マネジメント経験。
これらをすべて持つ人を探せば、高単価になるのは当然です。
そこで、
「初日から必要」
と、
「参画後に覚えてもらってよい」
を分けます。
必要以上に高いレベルの人材を採用しないことも、適正単価を決めるポイントです。
手順3. 市場相場を確認する
仕事内容と必要なスキルが決まったら、市場相場を確認します。
フリーランスエージェントの案件情報や単価データを見ることで、おおよその価格帯を確認できます。
ただし、平均単価だけを見るのではなく、自社案件と条件の近い案件を比較することが重要です。
手順4. 上限と下限を決める
たとえば、
「理想は月70万円」
「最大80万円」
というように単価レンジを設定します。
最初から一点だけに固定すると、優秀な候補者が現れた場合に柔軟な判断ができません。
企業側も、単価交渉前に予算の上限・下限を設定しておくと進めやすくなります。
手順5. 面談後に最終決定する
経歴書だけで最終単価を決めないことも重要です。
面談をすると、
「想定していたより設計経験が豊富だった」
「技術力は高いが、担当予定の業務にはオーバースペックだった」
といったことがわかります。
実際に任せられる業務範囲を確認したうえで、最終的な単価を決定します。
単価80万円のフリーランスエンジニアは高い?
月80万円という金額だけを見て、高いか安いかを判断することはできません。
たとえば、
実装のみ。
週3日。
経験2年。
という条件なら80万円は高く感じるかもしれません。
一方で、
要件定義から対応。
週5日。
クラウド設計も可能。
コードレビューとメンバー支援も担当。
という人材なら、月80万円でも合理的な場合があります。
重要なのは、
「月80万円」
ではなく、
「月80万円で何を任せられるのか」
です。
単価交渉でも、金額だけを下げようとするのではなく、業務範囲とセットで調整すると双方が納得しやすくなります。
フリーランスエンジニアの単価交渉をするタイミング
単価は契約開始時だけでなく、契約更新時にも見直せます。
特に、
- 担当業務が増えた
- 上流工程を担当するようになった
- マネジメントを任せるようになった
- 稼働日数が変わった
- 契約期間を延長する
といった場合は、再調整するタイミングです。
単価を下げたい企業側も、「予算が厳しいので安くしてほしい」とだけ伝えるより、
「6か月以上の長期契約を前提に調整できないか」
「担当範囲を一部減らす代わりに単価を調整できないか」
など、条件とセットで相談すると交渉しやすくなります。

フリーランスを長期利用するときは総コストを見る
フリーランスエンジニアは、必要なスキルを持つ即戦力を短期間で確保しやすいことが大きなメリットです。
一方、長期間利用するとコストは積み上がります。
たとえば月80万円であれば、
1年間で960万円。
2年間なら1,920万円。
3年間なら2,880万円です。
もちろん正社員にも給与や社会保険、採用費などがかかるため、単純比較はできません。
ただし、
「この人材は半年だけ必要なのか」
「3年間、自社の中心メンバーとして働いてほしいのか」
によって、適した人材調達方法は変わります。
短期ならフリーランス。
長期なら正社員。
というように、期間から考えることも重要です。
長期的な開発メンバーなら海外正社員モデルも比較する
国内正社員を採用できないため、フリーランスを長期間利用している企業もあります。
しかし、
「本当は自社のプロダクトを理解して長く働いてほしい」
「毎年フリーランスを入れ替えるのが大変」
「月額コストを見直したい」
という場合は、採用モデルそのものを見直す方法があります。
そのひとつが海外エンジニア採用です。
海外在住のエンジニアを採用する場合、現地法人や雇用契約、給与計算、社会保険などが課題になります。
そこで利用できる仕組みがEORです。
EORとはEmployer of Recordの略で、現地の雇用主体を通じて海外人材を雇用する仕組みです。
Somali EORでは、日本語でコミュニケーションできるインドネシア人エンジニアなどを、海外正社員モデルで採用する選択肢があります。
エンジニア人材については、月額30〜40万円台から検討できるケースもあります。
フリーランスの月額相場と比較すると、長期的な人材コストを見直せる可能性があります。
ただし、フリーランスとEORでは目的が異なります。
短期間の専門人材が欲しいなら、フリーランスが適している場合があります。
一方で、
「数年間働いてほしい」
「自社の開発ルールを理解してほしい」
「開発ノウハウを社内に蓄積したい」
という場合は、海外正社員モデルを比較対象に入れる価値があります。
なお、海外雇用では現地の労働法、税務、社会保険、契約、知的財産などの確認が必要です。対象国や契約内容によって取り扱いは異なるため、最新制度を確認し、必要に応じて専門家へ相談することが重要です。
まとめ:フリーランスエンジニアの単価は「任せる仕事」から逆算する
フリーランスエンジニアの単価は、単純な経験年数や市場平均だけでは決まりません。
スキル、担当工程、希少性、稼働日数、契約期間、案件条件など、複数の要素から決まります。
単価を決める際に押さえておきたいポイントは次の通りです。
- まず任せたい仕事内容を具体化する
- 必須スキルと歓迎スキルを分ける
- 経験年数ではなく実際の担当工程を見る
- 希少性の高い技術では単価が上がりやすい
- 月額だけでなく稼働時間も確認する
- 契約期間やリモート可否などの条件も考慮する
- 市場相場を確認したうえで単価レンジを設定する
- 面談後に実際のスキルを確認して最終決定する
- 長期利用では数年間の総コストまで比較する
- 長期メンバーが必要なら正社員や海外正社員モデルも検討する
フリーランスエンジニアの単価を決めるとき、最初に「70万円まで」と予算を決めてしまうと、必要な人材と金額が合わなくなることがあります。
先に考えるべきなのは、
「何をしてほしいのか」
です。
その仕事に必要なスキルを決める。
市場相場を確認する。
そして、自社にとってその人材が生み出す価値と照らし合わせる。
この順番で考えることで、高すぎず、安すぎないフリーランスエンジニアの単価を決めやすくなります。
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